サイエンス・イデア便り№75(2012年11月)

今月のテーマ :食べ物の旅:体内編

今年もあと1ヶ月余りとなりました。朝夕の冷え込みと共に、美しくなっていくのが紅葉です。あと半月もするとほとんど落葉してしまう、だから、葉っぱは命の最後を輝かしているのかなと思ったりしています。

さて今月のテーマは消化、とりわけ、デンプン(代表として米飯)の体内での変化を追いかけてみました。毎日、あまり気に留めずに食べている米飯ですが、どのように消化されているのか、そのことを知ると共に、自分の体の内側(内臓)にも興味を持つきっかけになってほしいと思っています。                                                         

梅干しを見ると・・・

酸っぱいものの代表というと何を連想しますか。今月のテーマ「食べ物の旅」の第一歩、唾液の説明で、梅干しの話をしてみるのですが、子供たちはあまりピンとこない様です。

梅干しの歴史は古く、平安時代かそれ以前から食べられていたと言われています。梅干しを見るだけ唾液が分泌されるという経験を持っている人は多いと思うのですが・・・

残念ながら、半数以上の子供たちには理解が得られませんでした。元来、梅干しの味は子どもに好かれるものではないので当たり前のことかもしれませんが、少し気になることもあります。

梅干し=酸っぱいではなく甘いと主張した子がいたことです。ハチミツ漬けの梅干し(?)を梅干しの味として理解しているとすると、どうなのでしょうか。この状況を否定はしませんが肯定もしかねると思うのですが。

日本の古来よりの食習慣がだんだんと崩壊しているというとオーバーかもしれませんが、梅干しの味、風味が理解されないのはやはり問題を感じてしまうのです。「始末の極意」という古典落語にケチな男が梅干しは見るだけで唾が出てくるので、それでご飯を食べるというくだりがありますが、梅干しの本来の味を知らないと、この落語は理解できないこととなります。

酸っぱいものを食べると、唾液分泌が盛んになるという体験を子供たちにはもっとして欲しいと願っています。パブロフの犬ではありませんが、動物が本来持っている条件反射を鍛えるのも悪くありません。酸っぱいものをみるだけで、唾液が分泌されるようになるというのは、味覚の記憶をしっかり脳に定着させることであり、脳の訓練です。この訓練に梅干しは最適だということなのですが・・・(ちなみに私は梅干しはあまり好みではないのですが・・・)

梅干しは唾液分泌促進という働きの他に、適度な塩分やクエン酸補給の効果もあり、又、長期保存のきく食品です。日本人としてはこれからも食べていきたい食品です。子供たちにはその味を理解してほしいなと願っています(理解してもらうには、来年あたり、梅干し作りをしてみようか、検討してみます)

来月(12月)のプログラムについて 

テーマは「光について&クリスマス科学工作」す。12月恒例の光についての実験と科学工作をします。

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