サイエンス・イデアだより№53(2011.1月)

今月のテーマ : 水はどこに

大阪でも雪がちらつく寒さの中で2010年は暮れ、新しい一年が始まりました。

今年もよろしくお願いします。気象の長期予報のとおり、今冬は本当に厳しい寒さが続いています。猛暑のあとの極寒でもあり、体調管理に気を使う毎日ですね。

さて、今月のテーマは水です。水に関する実験はよく行っていますが、それはテーマに係る物質や事象の理解のための水の使用でした。今回は、水そのものをテーマに実験を行っています。特に私たちの命を支える水はどこからきたのかを考えてほしいと願っています。

気になる水に関する言葉3つ

覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず)
この言葉の英訳は"It's no use crying over spilt milk."(こぼしたミルクを嘆いても無駄) と中学生の頃に習いました。その時、違和感を覚えたのは、水ではなくspilt milkとミルクとしているところでした。ミルクといった方が何となく高価なものをこぼしてしまった感はあります。一方、水というと安いものというイメージがありますが、実は水にも様々な形態があり、本当にきれいな水はけっして安くはありません。

日本人は水は安くていつでも手に入るものと思いがちですが、地球上でいつでも簡単に安全な水が飲めるのはごく僅かな国(地域)だけです。水は貴重で大事なものだと意識するとこの「覆水盆に返らず」のことばもとても意味深く思えてくるのですが如何でしょうか。

水に流す(水にながす)

良くない出来事を無くしてしまう、という意味合いで昔から使われています。日本の川は外国に比べると流れの速いものが多く、川にものを流すと自分の視界から早く消えてしまい、無くなってしまいます。不都合なことをリセットするのに好都合な言葉であり、日本ではよく使われる言葉です。「・・・・・・・・は水に流して」と言われると、反対できない雰囲気がありますが、言われた方はやや不快の感じることも多い言葉であることも事実です。あまり何事も簡単に「水に流さず」じっくりと考えてみたいものです。ちなみに、川にものを捨てるのは、不法投棄です。環境破壊の一行為であり、流れていったようにみえても、実はどこかでだれかがその処理をしているのです。この言葉のようにあっさりリセットとは行かないことも覚えておく必要があります。

水が合わない(みずがあわない)

環境になじめない場合に使われる言葉ですが、現代人にはわかりにくい言葉です。公共水道が発達している現在の日本においては、水道の水に大きな差はありませんが、水は本来、その地域独特の成分を含んでいました。水の味を決めるもの「ミネラル成分」です。このミネラル分が体質的に合わないことがそのまま、この「水が合わない」という言葉を作ったようです。その地域の水が体質的に受け入れられないということが転じて人間関係を含めた環境が合わないことも「水が合わない」と表現するようになったようです。これもまた、日本人的な表現ではないでしょうか。

来月(2月)のプログラムについて

テーマは「ビタミンとは」です。ビタミンCの実験をしながら、ビタミンの働きを考えてみます。

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