サイエンス・イデアだより №30(2009・2月)

今月のテーマ : 布を知る

今年の2月は20℃をこえる日があり、もう春かなと思うと、また、0℃近くまで気温の下がる日があったりと、温度差の激しい日々です。

2月も終わりに近づき、2008年度もあと1ケ月あまりになってきました。子供たちには、この学年をしっかりと締めくくり、新学年に向けて、意欲を持って臨んで欲しいなと思っています。

今月は「布」がテーマです。身近すぎて、日々着る衣服についてあまり意識することはありませんが、改めてその成り立ちを調べてみると、色々なことに気づきました。綿の実や繭から糸を紡いでみて、昔の人の苦労も少し判った気がしました。今日は糸から布へ、簡単はたおりきを使って、布を作ってみます。うまくいくでしょうか。

雪が融けると何になるか?

今日(2月17日)は大阪でも少し、雪がふりました。その雪を見ながら思いだしたことが、表題の質問です。この質問は一時期、大変、流行りました(?)。

20年以上前のあるセミナーでこの質問がされました。そのとき、大多数の「水になる」との答は酷評され、「春になる」の答が絶賛されたのです。

ただその時、私は「雪が融けると水になる」という科学的真理をあえて軽視するという考え方に違和感を感じたのが事実です。

日本人の民族性なのかどうかは判りませんが、私たちはその時々に、ブームのものや事象に乗り遅れたくないという心理が強く働くように思います。科学を絶対視していたかと思うと、突然、科学が諸悪の根源であるような捉え方をする、いずれもが極端であり、客観的に見れば、いずれもおかしいのでは?と思わなければならないはずが、そうならないところに少し怖さを感じるのは私だけなのでしょうか。雪が融けたら「水になる」のも「春になる」のも、同じように認められるべき答なのです。

実はこの問いへの答について、後年、ある本に(正確な表現は忘れたのですが)「雪が融けると水になるとか春になるとかは、本当に雪を知らない人がいうことである。冬に田畑に積もった雪がとけ始めるとそこは泥沼のようになるのであって、水になるとか春になるとか単純に言えるものではない。そのような答には雪国の厳しい生活感はない」とありました。この文章に出会ったときに、「目からウロコが・・・・」という感じがしました。

雪国の生活体験のない者にとっての雪は見るもの、遊ぶものなどであって、日常生活との係りはほとんどありません。そんな私たちの出す知識からだけの答が「水になる」や「春になる」であって、実生活の中には、もっと多様な答がある、そのことをしっかりと知らされた文章でした。

さて、子供たちはこの問いに何と答えるのでしょうか。今日の雪は残念ながら、積もることもなく、ふってもすぐに融けて、蒸発してしまいました。今日の答は「雪が融けるとなくなる」でした。雪を見て、少し昔のことを思い出しながら、大事なことに気付いた一日でした。

来月(3月)のプログラムについて

テーマは「食品保存を考える」です。現在のように冷凍冷蔵庫もなく、加工食品も多くはなかった昔の人はどのような方法で食品を保存したのでしょうか。食品の保存とその科学的な意味を考えます。

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