サイエンス・イデアだより №26(2008年10月)

今月のテーマ : レンズについて

 

10月も下旬になり、やっと秋らしくなってきました。暗くなるのが早くなり、確実に

季節はすすんでいるのだなと実感します。

今月はレンズをテーマに、14日にはレンズと同じ機能を持つ、身近なものをいくつか実験してみました。最近の子供たちは小さい頃から、様々な映像機器を体験することが多く、ズームアップして画像を見た経験があることも手伝い、基本的なレンズ機能を身の回りに発見してもあまり感動しません。

ズームアップして見たという結果のみが残るだけで、どうしてそうなるか、あるいはより大きく見るにはとか、はっきりと見るにはという工夫も興味が乏しいようです。機械器具の品質向上は私たちに利便性を与えてくれました。でも、体験の感動を奪っていることもあるのかなと少し心配も感じています。

28日はレンズの性質を再度確認して、簡単望遠鏡をつくります。ご家庭での注意事項として、この望遠鏡も含め、決して太陽を見ないことを繰り返して注意していただきますようお願いいたします。

顕微鏡の世界の魅力

光学顕微鏡は16~17世紀にレンズを複数組み合わせて、100倍以上に拡大してみる、現在の形の原型が発明されたそうです。しかし、レンズを使っていたのはもっと古く、紀元前の遺跡から水晶をレンズ型に磨いたものが、発見されています。ただ、この頃は拡大して、ものを見るのではなく、太陽光を集光するために使われていたのではないかと言われています。

顕微鏡の発明で発展したのは微生物学の世界です。微生物を知るためには顕微鏡は欠かせない機械の一つです。1000倍に拡大された世界をみると、微生物は様々な形をしていることがわかります。丸いもの、細長いもの、大きさもバラバラです。さらに、特殊な方法を使うと、運動するもの、しないものなども知ることができます。会社員の時代に品質管理の一分野として、微生物管理をしていました。極まれに発生する製品汚染の際にその原因を追究することになります。培養して、その微生物のあらゆる性質を把握して、特定していくわけですが、顕微鏡をのぞいて、その微生物と始めて対面した(?)時、様々な思いがよぎります。危険性があると言われている菌に形が似ていた時の緊張感はその後に続く仕事が頭をよぎり、厳しい思いを覚えたものです。そんな思いをする微生物ですがずっと扱っていると、顕微鏡をのぞいたときに「いとおしい」と思うときがあります。

微生物はそれが人間にとって有用であろうが、有害であろうが、自分の与えられた環境で増殖するということのみでひたすら活動しています。そのひたむきさを感じてしまう、そんな時もあるのです。学生時代に「培養は女性に向いている、母性が必要な仕事です」と、ある高名な先生に言われたことがあります。若かった時はそれがわかりませんでしたが、子育てをして始めてその言葉の意味が理解できました。微生物といえども一つの命です。

命を大事に思う心、もっともっと大切にしていきたいですね。

来月(11月)のプログラムについて

11月のテーマは「骨、筋肉について」です。

私たちの体を支え,形作っている骨、筋肉を調べます。

1回目は主に骨を2回目は筋肉を扱います。

                                                     

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