サイエンスイデアだより №38(2009年10月)

今月のテーマ : せんたくの科学

10月に入り、北海道では初雪のニュースもありました。秋が実感できる毎日となりました。今月のテーマは「せんたくの科学」です。「衣服の汚れがおちること」と科学がどのように係りをもっているのかを理解するのが目的です。

1回目は洗剤の成分「界面活性剤」が油にどのような働きをするかをみました。

2回目は洗剤の無かった時代に洗剤の代わりに使われていたものを使って、汚れ落ちの実験です。材料のひとつとして、日本名でムクロジと呼ばれる「ソープナッツ」を取り寄せてみました。

自然愛好家の人たちは合成洗剤を使わず、これでせんたくするそうです。

せんたく機での1回分を綿の袋に入れておみやげです。説明書をつけておきました。よかったら試してみてください。

家電の三種の神器

さて、「せんたくをする」というと、どんな場面を思い浮かべますか。子供たちに「せんたくに必要なもの」を質問すると、返ってくる答に必ず「せんたく機」が入っています。

せんたく機が一般家庭に普及したのは昭和30年代です。そのころのあこがれの家電というと「テレビ(ただし白黒です)」「せんたく機」「冷蔵庫」だったそうです。それから約半世紀、「家電の三種の神器」と呼ばれたものは今や、どこの家庭にでもあり(テレビはもちろんカラーテレビ)、

せんたく=せんたく機と連想するように変わったのですね。

では、それまでのせんたくはというと、「たらいとせんたく板」でした。するとせんたく板を使ってせんたくが長い間、行われていたのかというとそうではなく、せんたく板の使用は明治中期以降だそうです。そして、せんたく板は日本的なものだと思っていたら、明治の開国以降に伝わったものだとか。それ以前のせんたくは手で洗うか、足で踏むかだったそうです。それには、せんたくは川でするのが便利だったようで、桃太郎の童話でおばあさんが川にせんたくにでかける事が納得できます。

物がなかった時代、あるいは日本がまだまだ貧しかったころは、家事を楽にしてくれる家電はまさしく神様の道具のように思え、多くの人にとってあこがれでした。

それに引き換え、現在はあこがれの家電があるでしょうか。

使い方や性能の向上した家電に買い換えることはあっても、昭和30年代の人が感動したような気持ちを私たちが味わうことはありません。

あこがれのものを買うという喜びが少なくなった現在、あなたは何にあこがれていますか。

あこがれのものがある、いつかは○○○○○○を買おう!

子供たちには、いつまでも、そんな、夢や希望を持ち続けて欲しいなと願っています。

来月(11月)のプログラムについて

テーマは、「人体の不思議いろいろ」です。知っているようで知らない、人体のことを調べてみます。

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