サイエンス・イデア便り №49(2010年9月)

今月のテーマ : 分析化学入門

秋分の日を境にして、やっと、涼しくなりました。9月始めより、暑さの中、運動会の練習をしている小学生を見ると、大変だなと思います。ここ数年は9月も比較的暑いのですから、運動会の日程を10月後半にできないのでしょうか。大人がもっと柔軟な対応ができるようになるべきだと考えてしまいます。

さて、今月は分析化学の第一歩、ろ過について扱いました。日常生活でも「濾す」という操作を行っていることは多いのですが、

科学的に「濾す」(=ろ過をする)とは何を目的として行うのでしょうか。

今月はこの点を理解してもらうのが目的です。ろ紙とロートを使って行うろ過ですが、ろ紙の違いやその折り方も、覚えておくと、今後に役立つと思います。

4年経ちました

サイエンス・イデアが本格稼動して、丸4年たちました。このサイエンス・イデアだよりも来月には50号をむかえます。年数がたち、回数を重ねていく中で私自身が最も恐れているのが「マンネリ」。さて、「マンネリ」とは一体、何をさすのでしょうか。

マンネリとは「マンネリズム」の略で文化・芸術・演技などの表現が型にはまっていることをいいます。「マンネリ化している」という言い方は、新鮮味が無い、魅力が無いと捉えられ、嫌われています。

月2回のこの教室受講が子どもたちにとってマンネリ化していないか、常に私自身に問いかけておかなければと考えています。一方で、生活の中にある科学を知るという基本テーマは場合によっては繰り返して体験することで、科学的な常識として、子ども達の中に定着します。同じ内容の実験をすると「前にやった」とか「これ知ってる」という子ども達の反応があります。少し忘れかけていた(忘れていた?)体験をもう一度することで、科学的な知識として定着することがねらいです。ただし、同じ結果が導かれる実験でも、取り組みの内容を変えて、子ども達が飽きることのないよう工夫する配慮が必要です。

サイエンス・イデアは科学を楽しむがテーマであり、学力アップを狙っているわけではありません。けれども、科学的な知識を自分自身の中に蓄積し、その知識を組み合わせることで、より深い内容の体験ができるおもしろさを子ども達にも知ってもらえたらと思います。

「使える知識」を自分の中で増やしていく、理科の分野に限らず、どの学習でもいえることだと思います。知識を増やすということは「1+1=2」ではなく、3,4、いやもっと無限大に知識が増えていくものであり、子ども達の中に、自分の知識を駆使して、いろいろなことを自ら考えるという習慣が育ってくれたらと願っています。

余談ですが、一度覚えたことも、その半分以上を忘れてしまうのも人間です。子ども達が「忘れた」というと「大事なことだから覚えておきなさい」と大人は叱りますが、忘れるということもまた、重要な機能です。このことは近いうちに書いてみようと思います。

来月(10月)のプログラムについて

テーマは、収穫の科学」です実りの秋です。自然の恵みに感謝しつつ、おいしく食べるには、科学的に調べてみます。

 

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