サイエンス・イデアだより№52(2010.12月)

今月のテーマ : 熱と光

今年もあと10日ほどになりました。一年を振り返る季節です。今年はどんな年でしたか。

今年は何と言っても夏の暑さ、「暑」という文字はもう見たくないと思う毎日でした。

酷暑の影響はこの寒い季節になってもまだ続いており、野菜類は高値のまま、年を越しそうですね。あまり明るいニュースが聞かれない毎日ですが、今年は日本人のノーベル賞受賞があったり、「はやぶさ」が長い旅の末、無事地球に帰ってきたりと、科学的には素敵なニュースが聞かれた年でした。

今月は先月に引き続き、熱を扱いながら、光との関連をみてみました。

新しい光「LED電球」が発熱しないことを実際に電球に手をふれてみることで、確認しました。12月は人工的な光をたくさん目にするときです。イルミネーションを始め、様々な灯りは人の心を暖かくするものです。

毎年、このおたよりに書かせていただいていますが、本当に色々なこと、苦しいこと、悲しいこと、腹立たしいことなどがありましたが、子ども達と共にこの季節の光を楽しめることができたことを深く、感謝しています。

灯りの歴史を考える

灯りの歴史は火を得ることによって始まりました。自然現象(落雷など)で木が燃えることを知り、その木を燃やす方法(先月、火おこしを体験しました)を得て、火を得ることができました。

たき火や囲炉裏で木を燃やすと熱と共に明るさも得ることが出来る、その明るさをたき火や囲炉裏でなく、独立した形としたのが、灯りの歴史の始まりです。

篝火(かがりび)や松明(たいまつ)で火をもやして、灯りを得ることは奈良時代にすでに行われていたようです。

6世紀の仏教伝来と共にろうそくが日本やってきて寺院等で使われだしましたが、高価なので庶民には高嶺の花、普及するのは江戸時代になってからです。一方で油を燃やす灯台が登場して、灯心を油に浸して燃やすことで灯りを得ました。

明治時代になり、石油ランプやガス灯など、新しい灯りが日本にやってきます。ただ、多くの灯りが火を使うので、それに起因する火事が多かったのも事実です。

明治の中期に電球が作られることによって、安全な灯りが手に入るようになりました。

そして、今、私たちは夜の暗闇を恐れることはありません。現代生活ではスイッチひとつで灯りを手にすることができます。さらに、LED電球の登場は熱を発生させない灯りを可能にしました。

さて、私たちは夜でも不自由を感じることなく安全に灯りを得ています。エネルギー問題を気にしながらも、夜は灯りのもとで暮らしています。ただし、私たちが恩恵に預かっているこの灯りも貴重な資源から得られているものであり、決して無限ではありません。そのことをしっかり覚えて、今の灯りをみたいと思います。

イルミネーションが美しい季節です。この季節の大規模なイルミネーションもLEDの登場で安価でバリエーション豊かになりました。

灯りひとつにも、そこには歴史があり多くの人たちの発明、開発の苦労を思うと、愛おしさを感じてしまいます。そのような思いをもって、この季節の灯りをお子様と共にながめてみませんか。

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