サイエンス・イデア便り №50(2010年10月)

今月のテーマ : 収穫の科学

やっと秋を感じられる季節になったかと思ったら、突然、寒さを感じるようになりました。日が暮れるのも早くなり、教室の時間帯、以前は明るかったのに、今は暗くなりました。半袖を着ることが多かった今年の秋、薄手の秋物は着ることなく、冬物を着ることになりました。

猛暑の夏の後は極寒の冬が来るかもしれないと言われていますが、どうでしょうか。長期予報が気になるところです。

さて、今月は収穫がテーマです。秋の代表的な収穫物「さつまいも」と「米」を扱いました。

秋は何色?

季節の色を聞いてみると、春や夏は気温の上昇が感じられるので、ピンクや赤ですが、秋になると、ブラウン系の色をイメージされる方が多いのではないでしょうか。

秋は今月のテーマのように収穫、実りの季節なのですが、その後、田んぼは稲刈りが終わると切り株だけ、実のなった木々の多くもその葉を落としてしまいます。植物は季節の変化に忠実にその姿を変え、種類によっては、種を残して、その役割を終えます。秋はある意味では植物の命の終わりを見る季節でもあり、イメージはどうしても暗くなりがちです。

朝夕に冷え込みが厳しくなると、紅葉の季節になるのですが、これも落葉の前触れなのです。紅葉のまま、冬を迎える木々はなく、紅葉した葉はすべて落葉します。私たち、人間は昔から、植物の変化に自分たちを重ね、みてきたのでしょう。

四季の変化がはっきりしている(ここ数年はやや、あやしいですが・・・)日本では、気温が下がってくると、冬が予想され、気分が沈みがちです。昔の人は植物の終わりをみて、厳しい寒さに向かう、自分の命をみつめて、秋を過ごしていたのでしょうか。今は冬になっても、寒さに打ち勝つ方法は多々あるので、私たちが深刻になる必要はないのですが・・・・

秋のイメージを書くとだんだんと暗くなりがちですが、あるとき、私自身の秋のイメージを変えることができました。ある公園で、落ち葉のなかに落ちているどんぐりをみつけました。どんぐりは木から落ち、落ち葉に覆われ、場合によっては人に踏まれ、でも、その落ちた地で厳しい冬をこえるのです。やがて、来る季節をひたすら待ち、そして発芽するのです。

秋は命が終わる季節ではなく、命をつなぐ季節なのです。

命のスタートは春かもしれませんが、秋は命の原点なのです。このことを心にとめるようになってから、秋のイメージは暗くはなく、希望のイメージになりました。

今、お子様はどんぐりかもしれません。これから、厳しいときがあるかもしれません。でも、どんぐりと同様、いずれ芽を出し、大きい木に成長します。自然の営みの多くがそれを保証しています。期待を持って見守りましょう。

来月(11月)のプログラムについて

テーマは、熱について」です熱の発生やその利用を科学的に調べてみます。(8月のおたよりの予定表には11月は「人体について」でしたが、12月のテーマ「光」との関連で、11月は「熱」をテーマにしました)

 

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