サイエンス・イデア便り №117(2016年5月)

今月のテーマ:空気の不思議

ゴールデンウィークも終わり、新緑の季節を迎えています。木々の緑が数日で驚くほど濃くなり、季節が初夏へ向かっていることを実感します。

今の季節は夏日の気温になっても、湿度が低いので夏ほどの不快感はなく、むしろ薄着で快適にすごせますね。「この季節が長く」と思うのですが、すでに沖縄地方の梅雨入りも発表され(16日)、うっとうしい季節もそこまできているのです。

今月のテーマは空気です。私たちのすぐそばにあり、必要不可欠なものですが、あまり意識せずに過ごしています。そんな空気のことを少し理解しようという試みです。興味深いことがたくさんありましたが、どうだったでしょうか。     

 

 

太陽光線功罪

太陽のまぶしさが感じられる季節です。今年の夏の暑さはどうでしょうか。暑いと手が伸びるのがエアコンのスイッチ、「節電を心掛けなければ」と思いつつ、暑さには勝てません。盛夏の最高気温は30℃以上になりますが、それ以上に暑さを不快に感じさせるのは湿度にもよるのです。

5月の高気圧は大陸性で乾燥していますが、夏の高気圧は太平洋高気圧で南の海からやってくるので、水分もいっぱい持っているからです。高温多湿が日本の夏の特徴なのです。暑さとともにもう一つ嫌なものが紫外線、女性にとって(今や、男女の別なく、人間にとって)大敵なのです。この紫外線、一年で一番強いのはいつでしょうか。紫外線⇒日焼け⇒夏と連想してしまいがちですが、今の季節5月は7月、8月と同じくらい紫外線量です。今から紫外線対策が重要です。

と、ここまで太陽光線のマイナス面を書いてきたのですが、太陽光線のプラス面を考えてみましょう。今月のテーマ「空気」と同様、太陽光線が全く無くなってしまったら(人工的に太陽光線を作り出さない限り)、人類は滅亡です。地球上にある動植物の生命活動は太陽光線が助けている部分が大きく、現在の科学技術レベルで太陽光線なしに同等の環境が作り出せるかどうかは疑問です。

太陽光線によって暑い夏になるのですが、もし、日本の夏が暑くならなかったらどうなるでしょうか。冷夏は米の不作をもたらし、日本人の主食にとって大きな影響を及ぼします。米だけでなく、様々な農作物の生産量にも影響は大です。

水、空気、光はあまりに身近すぎて、あって当たり前と思いがちです。

でも、いずれも永遠にあるとは言えないのです。生きていくために不可欠のものでありながら、自らは作り出せないもの、自然からの恩恵で私たちはいきているのです。子供たちにも、このことを忘れることなく、日々過ごしてほしいと願っています。

来月のプログラムについて

6月のテーマは「水と油」です。混ざらないものの例えですが、身近な素材で、この2つをまぜる工夫をしてみます。

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