サイエンス・イデア便り№１３８（２０１８年２月）

ビタミンについての思い込みから

私たちはビタミン、とりわけビタミンＣについて神話のように信じていること、それはレモンにはビタミンＣがたっぷり含まれている、あるいはミカン類にはビタミンＣがたっぷり含まれているから風邪予防になる等々・・すべて否定されるわけではないのですが、今月の実験をしながら「？」（はてな）と思うことに出会いました。期待するほど、レモンやミカンの果汁にビタミンＣがないということです。これはどうしてと調べてみると、まずは個体差、同じレモンでも１コずつ違う（当たり前ですが）そして、収穫されてから実際に実験に使った時までの時間も関係しているようです。レモンもミカンもいつ収穫されたのでしょうね。レモンやミカンには製造年月日がない、柑橘類はもぎたてが美味しいとは限らないので、何月何日に収穫したという情報は、あまり意味のないことなのです。

美味しく食べるということはとても大切なことですが、ミカンを１個食べたから、ビタミンＣをたっぷり摂取できたと思い込むのはやめましょう。

このように、いつかどこかで得られた情報に私たちは支配されがちです。自分にとって益となる情報だと尚更です。ビタミンをはじめとする様々な健康に関する情報に飛びつきやすい私たちです。でも時々「？」（はてな）と思い、考え、調べてみる必要もあるのではないでしょうか。

私たちは意外と自分の思い込みに支配されていることが多いのではないでしょうか。○○が苦手、△△が嫌い、実際に体験しないで思いこんでいることはありませんか。それが自分だけでなく、まわりの人に及んでいませんか。　

お子さんに□□が出来ないと決めつけてしまうのは危険ですよ。ヒトは皆、大きな可能性を持っているのです。決めつけないで、もう少し先に立って見てみましょう。出来るといいね、きっとできるよ、と声がけしましょう。春に向かって、思い込みから脱却し、自分も周りにもそんな言葉を発していきましょう。